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BLOCH「ETU(エチュ)」トゥシューズとは?ポアントシューフィッターが構造から徹底解説

Noriyuki
著者

Professional Pointe Shoe Fitter

Noriyuki

「足に自然になじむ一足」を大切に、ダンサーが自分らしく表現し、踊り続けられる選択に寄り添うプロフェッショナルポアントシューフィッター。海外老舗のBLOCH、Grishko、Capezioの各ブランドで専門的なフィッティング講習を修め、Sansha、GaynorMinden、Gamba、Sylviaのトゥシューズにも精通する。Youth Grand Prix Japan(YGP Japan)にGrishko代表ポアントシューフィッターとして参加。フィッター歴10年、予約制のフィッティングで2万人以上のバレエダンサーをサポートし、対応履歴は延べ5万件を優に超える。ひとりひとりの足の形、踊りのスタイル、これから描くダンサー人生に合わせ、最適な一足を提案している。We fit for the love of dance.

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「ポアントで立ち上がった瞬間、なんだか少し怖い」
「先端が早く”へたって”しまって、後半は立つのがしんどい」
「足先が痛くて、レッスン後半は集中できない」
「床で滑りそうで、回転のときに踏み込みきれない」

トゥシューズを履いている方なら、こうした小さな不安や困りごとを、一度はきっと感じたことがあるのではないでしょうか。

そして多くの場合、こうした不調は「仕方ないもの」として、なんとなく受け入れられていきます。

BLOCHの ETU(エチュ) は、まさにそうした”足先まわりの小さな不安”に、構造そのもので応えようとしている一足

見た目はすっきりと美しく、立ったときには安心感がある。伝統的なトゥシューズの感覚を残しながら、先端部分には現代的な素材と設計を取り入れている——そんな「いいとこ取り」のハイブリッド型のポアントシューズ、それがETUです。

このETUは、BLOCHがプロのバレエダンサーたちと意見を交わしながら、舞台の現場で求められる声に応えて生まれたモデルです。 BLOCH公式でも中級〜プロダンサー向けと位置付けられており、実際にフィッティングで触れていても、シャンクはかなりしっかりした印象です。体感としては、BLOCHのSuperlativeやゲイナーミンデンのエクストラからハードに近い強さに感じる一足です。

そのためETUは、レッスン量の多い学生やプレプロ、プロダンサー、あるいはすでに足の筋力が十分に育っている方ほど、この構造の良さを活かしやすいモデルです。

また、所感としても、ETUは現在のBLOCHポアントラインナップの中でもトップクラスのサポート力を持つ一足です。実際に世界で活躍するプロダンサーの中には、表現の繊細さや足さばきのしなやかさを活かしたい舞台ではEuro Stretchを、テクニックの安定感や支えの強さを重視したい演目ではETUを選ぶ——という使い分けをしている方もいます。「すべてを無難にこなす万能型の一足」というより、「特定の場面で圧倒的に頼れる一足」というのが、ETUらしさなのかもしれません。

BLOCH ETUのサイドビュー、プラットフォームの広さとテーパードボックスが分かる斜めアングル

この記事で分かること

BLOCH公式情報・フィッター所見に加え、フィッティングで感じた所感を交えて解説します。

1

ETUがどういう発想で作られたシューズなのか

合成ボックス+伝統シャンクのハイブリッド設計を読み解く

2

ETUはどんなレベル・どんな足型に合うのか

スクエア型・エジプト型・ギリシャ型との相性

3

シャンク強度の実際(Superlative同等のしっかり感)

プレプロ・プロ、足が強い層にこそ刺さる理由

4

Gaynor Mindenとの違い

類似点と決定的な違い、どちらを選ぶべきか

5

「ETU」と「ETU Flex」の使い分け方

シャンク強度の違いと、どちらが自分に合うか

6

プロダンサーのETU活用事例

表現力重視ではEuro Stretch、テクニック重視ではETUという使い分け

目次

  1. まず、ETUってどんなトゥシューズ?——開発の発想
  2. 用語の整理:「ボックス」「シャンク」「プラットフォーム」って何?
  3. ETUの特徴を、ひとつずつ読み解いていきます
  4. どんな”困りごと”に効くのか——フィッター視点での解説
  5. ETUの木型は、どんな足型に向いているのか
  6. 知っておきたい「Gaynor Mindenとの比較」
  7. 「ETU」と「ETU Flex」、何が違うの?
  8. こんな方におすすめしたいトゥシューズです
  9. まとめ——細く見せたい気持ちと、安心して立ちたい気持ちの、ちょうど真ん中


1. まず、ETUってどんなトゥシューズ?——開発の発想

ETUを理解するうえで、いちばん大切なキーワードは 「ハイブリッド」 です。

最近のトゥシューズ業界では、合成素材や樹脂系のパーツを使った”モダン系”のモデルが増えてきました。Gaynor Mindenをはじめ、耐久性があり柔軟性を持ち合わせた改革的なトゥシューズは、確かに魅力的。

一方で、昔ながらの紙や布、糊で作られた”伝統系”のトゥシューズ(Freed、Grishko、Rクラスなど)には、足になじみ、自分の形に馴致していく気持ちよさがあります。伝統系の平均寿命が10〜20時間とされるのに対し、合成ボックス系のトゥシューズは先端部の耐久性が明確に向上します。

ETUは、この両方のいいところを一足にまとめよう、という発想で作られました。具体的には、

  • ボックス部分(足の指を包む、硬い先端の箱状の部分) には非伝統的な合成素材を取り入れて、支えの持ちをよくする
  • シャンク部分(土踏まずを支える、靴底の芯) には伝統素材を残して、足になじむ感覚や調整のしやすさを残す

という、部位ごとに素材と思想を使い分ける設計になっているのです。

つまりETUは、「全部を新しくした靴」でもなければ、「伝統のまま固めた靴」でもない。バレエリーナすべての悩みである「ボックスがすぐ潰れる」を、現代的な発想でアップデートしたトゥシューズなのです。

BLOCH公式でも、ETUは次のように紹介されています。

「トゥボックスには現代技術の利点を、シャンク(アーチ部分)には伝統的なトゥシューズの利点を持たせた、今までに誰も作ったことのないトゥシューズ」

— BLOCH公式

——履いてみると、この”ちょうどいい中間”の意味が見えてきます。

2. 用語の整理:「ボックス」「シャンク」「プラットフォーム」って何?

この先の解説をスムーズに読み進めていただくために、トゥシューズの各部位の名前と役割を、ごく簡単に整理しておきますね。

ポアントシューズの構造図解。ボックス・プラットフォーム・シャンク・ヴァンプ・クラウン・ドローストリング・アウトソールの7部位を番号付きで解説
ポアントシューズの構造

2番:ボックス(box)

足の指と中足(ちゅうそく、足の甲の前半分)をぎゅっと包み込む、硬い箱状の部分です。ここの硬さや形が、「立ったときの支え」に直結します。ETUは、このボックス部分に合成素材を使っているのが大きな特徴。

9番:プラットフォーム(platform)

ボックスの先端、つまりポアントで床に接地する平らな面のことです。ここが広いと、立ったときに「乗る場所」が見つけやすく、安定感が出やすくなります。逆に狭すぎると、細く見えるかわりに軸がブレやすくなるのです。

4番:シャンク(shank)

靴底の中に入っている、土踏まずを支える芯のことです。ここが硬すぎると立ちにくく、やわらかすぎると支えきれない。そのバランスが、履き心地を大きく左右します。ETUはここに伝統素材を残しているので、足になじみやすい感覚があります。

シャンク長(3/4、7/8、フル)

シャンクが靴底のどこまで伸びているかを示す表記です。3/4は土踏まず手前まで、フルはかかとまで。ETUは公式には3/4ですが、3/4より少し高めの位置で折れ、感覚的には7/8に近いと言われています。これは後で重要なポイントになります。

3番:ヴァンプ(vamp)

足の甲、指の付け根あたりを覆う布地の部分です。長さや形(U字、V字など)によって、指の収まり具合や見え方が変わります。ETUはやや浅めのU字ヴァンプで、足の甲をすっきり見せつつ、指を比較的自由に動かせるデザインです。

クラウン(crown)

ボックスの”高さ”のことです。足の甲が高い方(甲高さん)は、クラウンが低いシューズだと甲が当たって痛くなりやすく、逆に低い方はクラウンが高いとシューズの中で足が浮いてしまいます。

トウチップ

プラットフォームの先端に貼ってある素材のことです。サテントウとスエードトウがあり、グランパドドゥでの取り扱いは日本の仕様に合わせた「サテントウ」です。

  • スエードトウ:床との摩擦が大きく、滑りにくい
  • サテントウ:なめらかで、ロジン(松脂)が効きやすいリノリウム床向き

BLOCHでは環境に応じて、サテントウ仕様とスエードトウ仕様があります。

PORON®(ポロン)

ETUに使われているクッション素材の名前です。衝撃を吸収する力が高く、なおかつ静音性にも優れています。ポアントで床に下りたときの「ドン」という音や衝撃をやわらげてくれる素材、とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

ダンサーは舞台の上で、足にも体にも大きな負担をかけながら踊っています。だからこそ、衝撃をやわらげてくれる工夫は、長く踊り続けるうえでとても大切です。

グランパドドゥでも、「ダンサーに好きな踊りを少しでも長く続けてほしい」という思いから、PORON®クッション素材を使用した「ボックス・スペーサー」を生産から販売をしています。PORON®にもさまざまなグレードがありますが、その中でも最上位の衝撃吸収性に優れ、航空機関連の衝撃吸収部品にも使用される高品質な素材を選びました。足幅の支えが欲しいときや、指が沈み込みやすいとき、また衝撃を少しでもやわらげたいときに、ぜひ一度お試しください。

用語の下ごしらえができたところで、いよいよETUの中身を読み解いていきましょう。

3. ETUの特徴を、ひとつずつ読み解いていきます

特徴① 非伝統的なボックス(合成素材の先端)

ETUの最大の特徴は、ボックス部分に合成素材を使っていることです。

従来のトゥシューズでは、紙や布などの素材を専用のペーストで重ねて、つま先のボックスを作るのが一般的です。この製法には、足になじみ、自分の感覚に育っていくような心地よさがあります。

その一方で、汗や湿気の影響を受けやすく、まだ履けるのに先端の支えだけが先に弱ってしまう、という悩みも生まれやすい構造です。

ETUのボックスは、

  • 水や汗の影響を受けにくい
  • 履き始めの支えが長持ちしやすい
  • それでいて、指の動きはきちんと通す

という方向で設計されています。多くのダンサーが抱えてきた「ボックスだけが先にへたる」という問題に、ETUは素材そのものから答えようとしているのです。

特徴② 広めでフラットなプラットフォーム

ETUのプラットフォーム(先端の接地面)は、広めで、ほぼフラット(平ら)です。これはデザイン上の”好み”ではなく、きちんと意味があるのです。

プラットフォームが広いということは、

  • 立ったときの接地面積が大きい
  • 乗せる場所のあそびが広い
  • 軸のブレを吸収しやすい

ということ。ポアントで立ち上がる瞬間に「どこに乗ればいいか」が見つけやすいので、立つたびに位置が微妙にブレやすい方や、軸に不安がある方にとって、とても頼りになる設計です。

BLOCHはこれを ”ultra-flat design(超フラット設計)” と呼び、支持足において「ありえないほど安定する」と表現しています。

BLOCH ETUのプラットフォームを真下から撮影、広めでフラットな接地面
ETUのultra-flat design。広めでフラットな接地面が、軸のブレを吸収してくれる

特徴③ 内側は、意外と”まとまり”を感じる構造

ここがETUの、いちばんユニークで面白いところかもしれません。

外から見ると、プラットフォームが広くて、どちらかというと”ゆったり系”に見えます。でも、ボックスの内側とインソール側には、クッションが何層か重ねられているのです。

この層構造のおかげで、

  • 外側は広くて安定感がある
  • 内側は足先がほどよくまとまり、泳ぎにくい

という、ちょっと不思議な履き心地が生まれます。広いプラットフォームを好むけれど、「中で足が泳いでしまうのは苦手」——そんな方にとって、これはとてもありがたい構造です。

広さ=中で足が動く、ではないということを、ETUは構造で示してくれています。

特徴④ PORON®素材による、静音性と衝撃吸収

ETUには、PORON®(ポロン)という高品質なクッション材が、ボックスの中アーチ(土踏まず)部分の両方に使われています。このおかげで、

  • ポアントで立ち上がるとき、降りるときの音が静か
  • 足にかかる衝撃がやわらかく吸収される

という効果があります。床が硬いスタジオでのレッスン、何曲も連続で踊るリハーサル、長時間のレッスンなどで、足先にくる”じわじわしたダメージ”を少しでも減らしたい方には、見逃せないポイントです。

特徴⑤ 伝統素材のシャンクと、「7/8寄りの3/4」という絶妙な設計

一方で、シャンク(土踏まず側の芯)には、従来通りの伝統素材が使われています。

これは「足のアーチになじませて、自分の形に調整したい」という、ダンサー本来のニーズに応えるための選択。合成素材のシャンクは長持ちしますが、反面、「足になじまない」「アーチの高さに合わない」という悩みも生みがちです。

ETUは、支えの持ちが一番ほしいボックスに合成素材を使い、調整したい土踏まず側には伝統素材を残す、という使い分けをしています。

さらに知っておきたいのは、シャンク長の設計です。BLOCH公式サイトには記載されていませんが、ETUのシャンクは公式には3/4シャンクながら、通常の3/4よりもやや高めの位置で折れるため、感覚的には7/8シャンクに近いです。

そしてもうひとつ、フィッティングで感じる大切なポイントがあります。ETUのシャンクの強度は、同じBLOCHの”Superlative”と同等になります。Superlativeは、BLOCHのストレッチ系ラインの中でも、強めのシャンクで知られる中級からプロ向けモデル。ゲイナーミンデンではヨーロッパに代わってからのエクストラからハードの強さにあたります。

これがどう効くかというと、

  • 3/4ほどかかと側が自由ではなく、土踏まず全体をしっかり支えてくれる
  • フルシャンクほど硬すぎず、甲の動きを邪魔しない
  • 結果として「甲は使いたいけれど、落下感は避けたい」方にちょうどいい
  • Superlative同等の強度があるので、長時間のリハーサルでもヘタりにくい

という、中間の心地よさが生まれます。「3/4では頼りない、フルでは重い」と感じてきた方、すでに足が十分に発達していて「もう少ししっかり立てるシューズがほしい」と感じているダンサーにとっては、新しい選択肢だと感じます。

特徴⑥ プリートレス(プリーツなし)構造

トゥシューズの先端を裏から見ると、たいてい細かいヒダ(プリーツ)が寄っています。これは、平らな生地を丸い木型に合わせていくときに、どうしてもできてしまうもの。

ETUはこのプリーツがないプリートレス構造なので、

  • 先端がすっきり美しく見える
  • 厚みが均一で、立ったときの感触が安定する

という利点があります。舞台で足先まで見られるダンサーにとっては、地味にうれしい仕様です。

従来品ポアントシューズ先端のプリーツ(ヒダ)がある状態
従来品:先端にプリーツ(ヒダ)あり
BLOCH ETUのプリートレス構造、先端がすっきり美しい
ETU:プリートレスで先端がすっきり美しい

特徴⑦ しわになりにくい補強サテン

ETUのサテンは、しわになりにくく補強された特別なサテンです。普通のサテンは、履いているうちに足の甲まわりに”くしゃっ”としたシワが寄りがちですが、ETUはそれが起きにくい。

舞台写真や動画で、足のラインをきれいに見せたい方には、大きなメリットになります。

※ ちょっとだけつらい点が、補強されているぶん、リボンやゴムを縫いつけるときに針が通しにくいことがあります。縫い針は少し太めで頑丈なものを選びましょう。

特徴⑧ 浅めのU字ヴァンプと、エラスティックドローストリング

ETUのヴァンプ(甲の部分)は、やや浅めのU字型です。V字よりもやさしい印象で、足の甲を広く見せ、指を動かしやすい形になっています。

そして、シューズの履き口にはゴム入りのドローストリング(絞りひも)が付いています。これを締めることで、かかとや甲の抜けを抑えられるので、フィット感を自分で微調整できます。

特徴⑨ 「スプリングローデッド」な立ち上がり感覚

BLOCHはETUの独特な履き心地を 「spring-loaded sensation(ばね仕掛けのような感覚)」 と表現しています。

これは、合成素材ボックスとPORON®クッション、そしてやや高めに折れる伝統シャンクの組み合わせから生まれる、ポアントで立ち上がるときにシューズが軽く反発してサポートしてくれるような感触のこと。

すでに履いていただいている方からも「立ち上がりやすい」、フィッティング時点でも「軽く押し上げられる感じがする」という声をいただくことがあります。これがまさに、ETUのスプリングローデッド感覚!

他のモデルにはあまりない独特の感覚なので、一度体験していただくと、ETUというシューズの個性がよく分かります。

特徴⑩ スエードトウとサテントウ

ETUは、プラットフォームの素材が2種類あります。

  • スエードトウ
    ロジン(松脂)の使用が制限されているスタジオや、少し滑りやすい床で踊る方向け。先端が床に食いつきやすく、回転や立ち上がりで”逃げない”感覚が得やすいです。
  • サテントウ
    ロジンを使える、リノリウム床向け。見た目の美しさを優先したい舞台用にも向いています。

細部に宿る、世界のダンサーとの共同開発

ここまで主要な10の特徴をご紹介してきましたが、ETUは世界中で活躍するバレエダンサーと意見を交わしながら開発された背景もあり、目立たない細部にも「快適に、静かに、長く踊る」ための工夫が重ねられています。

とくに注目しているのが、以下のような細部の仕様です。

  • Relevease insole(リリーシィズ インソール):BLOCH独自のインソール設計。ルルベからポアントへの移行を滑らかに誘導してくれる仕様
  • マイクロファイバーアウトソール:革より軽量で、適度な摩擦を持ちながらも床への適応がよいモダンな素材
  • プラットフォーム:フラットで、角のあるプラットフォームがかがりに近い安定感
  • ボックス内部の追加レイヤー:外側は広めのプラットフォーム、内側はまとまり感のある二層構造
  • トゥまわりの保護パッド+パッド入りインソール:足先の当たりをやわらげる三重の仕組み
  • PORON®クッション:ボックス内部とアーチ部分の両方に配置、衝撃吸収と静音性を両立
  • プリーツレス構造:先端のヒダがなく、デュミからポアントへごろつきの無さ・美しい見た目
  • 補強サテン:しわになりにくく、舞台写真での見映えを維持

一つひとつは地味な要素かもしれませんが、これらが合わさって「立ったときの静けさ」「長時間履いても疲れにくい快適性」「舞台での美しさ」というETUの良さになりますね。

基本仕様|サイズ展開と価格感

2026年時点で、ETUは以下のサイズ・幅で展開されています。

  • サイズ:3〜8
  • :X、XX、XXX(1X・2X・3X)の3種類

ここで知っておくと便利なのは、ETUは他のBLOCHポアントと比べて、全体的にサイズがやや小さめに出る傾向があること。普段のBLOCHのサイズとサテンのトゥシューズは0.5~1サイズ大きめを、ストレッチサテンシリーズでは、同じサイズを目安に試すと、ちょうど良いケースが多いです。

フィッティングでのサイズ事例

  • バランスヨーロピアン5.5XXX の方 → ETUでは 6.5XX が合った(1サイズアップ・幅は少し細く)
  • エレガンス 3.5X の方 → ETUでは 4XX が合った(ジュニアで成長のためサイズアップ・幅は少し広く)
  • スーパーラティブ 5.5XX の方 → ETUでは 5.5XX が合った(同サイズ・同幅)
  • スーパーラティブ 5X の方 → ETUでは 5X が合った(同サイズ・同幅)
  • カーチャ 4XXX の方 → ETUでは 4.5XX が合った(メーカー表記の違い・同幅)
  • スターポアント 6XXX の方 → ETUでは 6.5XX が合った(メーカー表記の違い・同幅)
  • スターポアント 5X の方 → ETUでは 5X が合った(元が緩かった可能性・幅は規格としては少し広くなっている)
  • 2007 4.5XXX の方 → ETUでは 5XX が合った(メーカー表記の違い・同幅)
  • Maya1 4XX の方 → ETUでは 4.5XX が合った(メーカー表記の違い・同幅)
  • フェッテ 5XX の方 → ETUでは 5.5XX が合った(メーカー表記の違い・同幅)

同じBLOCHラインでも、どのモデルから移行するかでサイズ変化の傾向が違うのは、ヒールの収まりや履き口のフィット感にも個人差がありますので、可能な限りフィッティングでお試しいただくことをおすすめします。

価格はグランパドドゥでは17,820円(税込)、BLOCHでは151ドル(24,160円)です。従来のBLOCHポアントより少し高めですが、耐久性とクッション性を考えると、実質コストではむしろお得という所見もあります。

4. どんな”困りごと”に効くのか——フィッター視点での解説

ここからは、ETUの特徴を「どの悩みに効くのか」という切り口で整理していきます。特徴を並べるだけでは、「結局、自分に合うのかどうか」がピンときにくいものですよね。フィッターとしても、日頃から大切にしている視点です。

困りごと① ポアントで立つと、軸がブレて怖い

ポアントで立ち上がるたびに足首が揺れる、乗る場所が毎回違うように感じる、上に引き上がる前に”怖さ”が先に来てしまう——。こうしたタイプの悩みは、プラットフォームが狭すぎる・先端が丸いことで起きやすい傾向があります。

ETUの広めでフラットなプラットフォームは、この悩みに対してとても頼りになります。接地面が広いぶん、乗る位置のあそびが大きく、余計な力みが減りやすい。「立った瞬間に、地面が近い」と感じられるのは、舞台でもレッスンでも、大きな安心材料です。

困りごと② ボックスだけが先にへたる

「シャンクはまだ硬いのに、先端だけ”ぐにゃっ”とつぶれる」
「指先が前に落ちる感覚になって、立ちづらくなる、むしろもう痛い」
「レッスン3〜4回で、もう先端が不安になる」

こうした悩みは、とくにレッスン回数が多く、しっかり踏み込めるプレプロ層や、足の力が十分発達したダンサーに多い声です。足が強いぶんシューズへの負荷が大きく、先端が真っ先に壊れる。そんな経験を繰り返してきたダンサーにこそ、ETUの合成素材ボックスは効いてきます。1足あたりの実用時間が伸び、結果的にコストパフォーマンスも改善する可能性があります。

困りごと③ 足先が痛い、当たりが強い

  • 親指の先がいつもつらい
  • 人差し指に圧が集中して、だんだん爪が黒くなる
  • 長いレッスンのあと、指先が麻痺したようになる

こうした「足先まわりの痛み」は、多くのダンサーにとって切実な悩みです。

ETUは、

  • ボックスの内側にクッションが重ねてある
  • インソール(中敷き)にもパッドが入っている
  • PORON®素材が衝撃を吸収する

という三重の仕組みで、足先にかかる負担を少しでもやわらげようとしています。大切なのは、「硬さで押し返す」タイプの靴ではなく、「負担の質を変える」タイプのトゥシューズ、ということ。どんな足にも無条件で痛くないわけではありませんが、同じ練習量でも”じわじわ来る疲れ方”が変わってくる可能性があります。

困りごと④ ポアントの音が気になる

意外と声が多いのがこの悩みです。「自分だけ、ポアントの音が大きい気がする」というもの。コンクールや発表会の静かなヴァリエーションでは、足音ひとつが印象を左右します。ETUはPORON®素材のおかげで静音性が高めなので、音が気になる方にも安心しておすすめできます。

5. ETUの木型は、どんな足型に向いているのか

ここは、ETUを検討するうえで一番気になるところかもしれません。BLOCH公式の販売店資料を見直し、足型との相性について整理しました。

まず、大前提として

ETUは次のように位置づけられています。

「中級〜プロダンサー向けに設計されたモデル。とくに、親指・人差し指・中指の3本の長さがほぼ揃っていて、中足(指の付け根)が一直線に近い スクエア型の足 に適している」

— BLOCH

足型の相性を考えるうえではとても大切な出発点になります。

一方で、ETUの木型は ”curved and tapered last(カーブドテーパー木型)” とも説明されています。これは「足のカーブに沿い、先端に向かってなだらかに絞られている木型」という意味。

言葉だけ見ると「スクエア型」と「テーパー」は矛盾しそうですが、ETUの場合は外側のプラットフォームが広く、内側のクッションで絞って支えるという特殊な構造のおかげで、両立しています。

また、海外のポアントシューフィッター(The Cinnamon Tree)は、ETUのボックス形状についてこのように語っています。

「BLOCHは箱型と知られているが、ETUは違う。ボックスはやや先細りで、メタタルサル(中足)のあたりで広くなる」

— The Cinnamon Tree(2023年10月)

従来のBLOCHの「箱っぽい」印象を嫌っていた方でも、ETUは試す価値がある、ということです。その通りで、私の中でもGrishkoの発想にある木型「スマートポアント」シリーズや、ゲイナーミンデンのスカルプテッドフィットまできついカーブはないものの、近いシルエットだと思っています。

足型との相性を、ひとつずつ見ていきましょう

スクエア型の足の解剖図。親指・人差し指・中指の3本がほぼ同じ長さで、指の付け根が一直線に近い足型
スクエア型
(BLOCH公式推奨)
エジプト型の足の解剖図。親指が最も長く、小指に向かって階段状になだらかに短くなる日本人に多い足型
エジプト型
(日本人に多い)
ギリシャ型の足の解剖図。人差し指が最も長く、山型に突出している足型
ギリシャ型
(要確認)

スクエア型(公式に推奨されている足型)

親指・人差し指・中指のおよそ3本が同じくらいの長さで、指の付け根も一直線に近い——いわゆるスクエア型の方。この足型は、

  • 先端のどこに乗っても力が均等に分散されやすい
  • 広いプラットフォームが、そのまま”支え”として機能する
  • ETUの内側クッション構造が、足先を過不足なく受け止めてくれる

という点で、ETUと非常に相性がいいと考えられます。これまで、スクエア型の方が「幅が合うシューズを探すのが難しい」と感じていた場合、ETUはとても有力な候補になります。

エジプト型

親指がいちばん長く、小指に向かってなだらかに短くなっていく、日本人にも多い足型です。エジプト型の方にとっては、

  • ETUのテーパー感(先端に向かって絞られる形)が、指のライン自体にはなじみやすい
  • ただし、広いプラットフォームに対して、親指1本で立つ感覚になりやすい場面もある
  • その点を、内側のクッションと補強が受け止めてくれる

という関係になります。「エジプト型には絶対合わない」ということはなく、むしろフィット次第では美しく履けるモデルです。ただし、親指に圧が集中しやすいタイプの方は、フィッティング時に「親指先の当たり方」を必ず確認したいところです。

ギリシャ型

人差し指がいちばん長い足型です。ギリシャ型の方は、本来は「人差し指が収まるだけの長さと形」を持つ木型が必要になります。ETUは木型そのものは比較的テーパーしているので、

  • 人差し指の長さが”軽度”なギリシャ型であれば、内側クッションで受け止められて合いやすい
  • 一方、人差し指がかなり長いタイプの方は、実際に履いて人差し指の先がボックス内で詰まらないかを慎重に確認する必要があります

という見方になります。

ひとこと
足型の相性は、モデル名だけで一概に決まるものではなく、実際に足を入れてみて初めて分かる部分がとても大きいです。それはダンサーがこれまで培ってきたフィーリングです。足のサイズ・幅・厚みすべてが完璧でもそのフィーリングが違っていると、サイズがあってないという答えになります。この記事はあくまで「そもそもETUがどういう設計思想で作られているか」を知っていただくためのものとお考えください。最終的な判断は、必ずフィッターとの相談のなかで決めていきましょう。

アーチとの相性

ETUはPORON®のクッション性と、伝統素材のシャンクを組み合わせた設計なので、

  • アーチが高めの方(甲が出やすい、リフトが強い方)には、アーチが伸びる動きにきれいに沿います
  • アーチが中程度〜やや低めの方も、伝統素材シャンクのおかげで、履き込むうちに自分のアーチ形状になじんでいきます

「甲はあまり高くないけれど、きれいに使いたい」という方にも、シャンクの調整しやすさの点でおすすめしやすいモデルです。

6. 知っておきたい「Gaynor Mindenとの比較」

やはり、海外のダンサーとの話でも引き合いになるのは、代表的なGaynor Minden(ゲイナー・ミンデン)というアメリカのブランド。

せっかくのブログなので、少しだけ丁寧に触れておきます。

Gaynor Mindenとは

Gaynor Mindenは、ポアントシューズの世界では”モダン系”の代表格。合成ポリマー素材を使ったシャンクとボックスが特徴で、伝統的なポアントの3〜4倍長持ちすることで知られています。快適性の高さも業界随一とされ、プロのダンサーからも愛用者が多い一方、「シューズが仕事をしすぎて、足が弱る」という批判もあり、議論の分かれるブランドでもあります。

ETUとGaynor Mindenの似ている点

海外のフィッターでも複数のレビュー(The Cinnamon Treeなど)で、語られてもいます。

「ETUは旧USA製造のGaynor Mindenと非常に比較できる。サテンはGaynorに似ており、全体構造はUSA製Gaynor Mindenとほぼ同一。快適性もGaynor Mindenレベルで、これまで無敵だったGaynorの快適性に匹敵する」

— The Cinnamon Tree(2023年10月)

つまり、ETUは「Gaynor Mindenに近い快適性と構造を、伝統的な履き心地の範囲で実現した」 ということ。これは、ETUの立ち位置を理解するうえで、とても大事な視点になります。

ETUとGaynor Minden 早わかり比較表

項目 BLOCH ETU Gaynor Minden
ボックス素材 合成ポリマー 合成ポリマー
シャンク素材 伝統素材 合成ポリマー
慣らし シャンクを慣らせる ほぼ不要
足への”仕事” 残す 軽減される
寿命目安 伝統系より長い 伝統系の3〜4倍
価格感 17,820円 23,500円

どちらを選ぶべきか

ここは、ダンサーの考え方と練習スタイルによって分かれるところです。

  • 足をしっかり使って、自分の形に慣らしていきたい → ETU
  • 快適性と寿命を最優先したい、慣らしの手間を省きたい → Gaynor Minden
  • Gaynor Mindenの快適性に憧れるが、伝統的な履き心地も手放したくない → ETUが最も現実的な選択肢

つまりETUは、「Gaynor Mindenのいいところを取り入れつつ、足の仕事も残したい」というダンサーのための、一歩踏み込んだハイブリッド なのです。この視点で見ると、ETUの存在意義がより鮮明に見えてきます。

7. 「ETU」と「ETU Flex」、何が違うの?

ETUには、通常のETUETU Flex という2つのシャンク強度があります。これはよく聞かれる質問なので、ここで整理しておきますね。

ETU(通常版)

  • シャンクの強度:ハード/ミディアム〜ハード寄り
  • しっかりした支えがほしい、プレプロ/上級ダンサー向け
  • 長時間のリハーサルでも、シャンクがへたりにくい

ETU Flex

  • シャンクの強度:ソフト/ミディアム
  • Relevease™ 設計を再エンジニアリングし、伝統素材を使いながら、より高い柔軟性を提供
  • ポアントでのサポートは維持しつつ、甲を押し出す動き・ルルベからポアントへの移行を柔らかく感じたい方向け
  • Flexは特に「引き上げる動きを、シューズに邪魔されたくない」というダンサーに好まれます

選び方としては、

  • 強くしっかり立ちたい・足の力があるタイプ → 通常のETU
  • 柔らかく甲を使いたい・足に優しい支えがほしい → ETU Flex

というのが、ざっくりとした目安です。実際はフィッティング時に両方を試して選ぶのがいちばんです。現時点ではETU Flexの入荷は行っていませんが今後をお楽しみに。

8. こんな方におすすめしたいトゥシューズです

これまで見てきた特徴をふまえると、ETUは次のような方にこそ、一度試していただきたいモデルです。

強くおすすめしたい方

まず、ETUを心から「この方にこそ履いていただきたい」と感じる、明確な対象層からお伝えします。

  • 週3〜7回のレッスンをこなし、シューズの耐久性とサポート力をどちらも求めているプレプロ層・コンクール出場者
  • プロ、セミプロとして活動しており、公演シーズンや長時間のリハーサルにも耐えられるしっかりしたシャンクを求めている方
  • すでに足の筋力が十分に育っていて、今のシューズに対して「もう少ししっかり立てるシャンクがほしい」と感じている方
  • 現在 BLOCH Superlative、European Balance Strong、Heritage Strongなど、強めシャンクのモデルを履いていて、さらにボックスの耐久性も高めたい方
  • 足先の力が強く、ボックスが先にへたりやすいため、一足あたりの消耗の早さが気になっている方
  • ポアントでの軸のブレに悩んでおり、広めでフラットなプラットフォームによる安定感を求めている方
  • ポアントの着地音が気になり、静音性を重視したい中級からプロやコンクール出場者
  • Gaynor Mindenに興味はあるけれど、足の使い方まで変えたくはないと思っている方

フィッティングで慎重に確認したい方

一方で、ETUは特徴がはっきりしているシューズだからこそ、次のような方はフィッティングで細かく確認しながら選びたいモデルでもあります。

  • かなり強いギリシャ型で、人差し指の長さが特に際立つ方
    → 人差し指のおさまりや圧のかかり方は、必ず実物で確認したいところです
  • 小さく華奢な足で、極端にコンパクトなシルエットを好む方
    → ETUは広めのプラットフォームを持つため、見え方の好みが分かれる可能性があります
  • 素足に近い軽さを最優先したい方
    → PORON®やクッション構造のぶん、わずかに“しっかりした感触”があります。この感覚を心地よいと感じるか、重さとして感じるかは好みによります

ETUをおすすめしにくい方

一方で、ETUははっきりと個性のあるシューズだからこそ、次のような方には、より扱いやすい別モデルをおすすめしたいと感じます。

  • ポアントを始めたばかりの方(ファーストポアント)
    → ETUはシャンクがかなりしっかりしているため、足の力で十分に使いこなすのが難しい場合があります
  • 週1〜2回程度のレッスンで、足首や足まわりの強さにまだ不安がある方
    → シャンクの硬さによって、かかとが浮いたり脱げやすく感じたりする可能性があります
  • 足の筋力がまだ発達途中の方
    → 硬めのシャンクを活かしきれず、かえって足に余計な負担がかかることがあります
  • 久しぶりにバレエを再開したばかりの方
    → まずはもう少し柔らかめのモデルで感覚を取り戻してから、必要に応じてステップアップするのがおすすめです

ポアントは”合わないモデルを頑張って履く”より、”今の自分の足に合うモデル”を選ぶほうが、上達への近道です。気になる方はフィッティングでご相談くださいね。

BLOCH ETUのよくある質問

ポアントシューフィッターとして日々いただく、ETUに関するご質問にお答えします。

ETUは初めてのポアントでも履けますか?

Noriyuki

Professional Pointe Shoe Fitter

Noriyuki

ETUは中級~プロダンサー向けのモデルのため、初めてのポアントとしてはおすすめしていません。シャンクがしっかりしているぶん、足の筋力が十分に育っていない段階では曲げきれず、かえって負担になってしまう可能性があります。

初めての方には、シルビア、チャコットをはじめ、Grishkoではノービス、ストリームポアント、BLOCHのHeritageやAmelie Softなど、もう少し扱いやすい柔らかめのモデルから始めるのがおすすめです。ポアントは「合わないモデルを頑張って履く」よりも、「今の足に合うモデルを選ぶ」ことのほうが、結果として上達への近道になります。

ETUの慣らし(ブレイクイン)はどれくらい必要ですか?

Noriyuki

Professional Pointe Shoe Fitter

Noriyuki

伝統系ポアントと同様、約8〜10時間の慣らしがひとつの目安です。合成ボックスはしっかりしていますが、履き込むうちに足になじみ、伝統素材のシャンクもアーチに沿って少しずつ変化していきます。

新品を初日から本格的なレッスンで使うのではなく、まずはスタジオ内でのウォームアップや短時間のエクササイズから少しずつ慣らしていくのがおすすめです。焦らず、足とシューズがなじんでいく時間を大切にしてください。

公演を控えたプロの方であれば、日々のレッスンの中で事前に慣らしを進めやすく、ボックスの持ちの良さを活かしながら、シャンクもご自身の足に合わせてしっかり馴染ませていきやすいモデルだと思います。

サイズが分からない場合、どうすればいいですか?

Noriyuki

Professional Pointe Shoe Fitter

Noriyuki

ETUは他のBLOCHポアントと比べると、サイズがやや小さめに感じられる傾向があります。目安としては、普段のBLOCHのサイズより0.5〜1サイズ大きめを試してみると合わせやすいです。

ストレッチシリーズでは、同じサイズでよい傾向です。

実際のフィッティングでも、Balance Europeanで5.5XXXを履く方がETUでは6.5XXまたは、6XXXでした。Superlativeで5.5XXを履く方がETUでも5.5XXで合ったケースがあります。

足型や甲の高さ、ヒールのおさまりには個人差が出やすいため、できる限りフィッティングで実物を履いて確認していただくのがおすすめです。

ETUは消音性が高く、長持ちしやすいのですか?

Noriyuki

Professional Pointe Shoe Fitter

Noriyuki

消音性については、実際に高い設計です。PORON®クッションがボックス内部とアーチ部分の両方に使われており、プリーツレス構造も相まって、ポアントで立ち上がる瞬間や降りる瞬間の着地音がやわらぎます。コンクールや発表会など、静かなヴァリエーションを踊る場面で特に頼りになるポイントです。

長持ち感についても、従来のBLOCHポアントより向上している印象があります。ボックス部分に現代的な素材を使っているため、先端だけが早くへたりやすい、いわゆる「ボックス負け」が起きにくい設計です。

特に公演を控えたプロの方であれば、日々のレッスンやリハーサルの中であらかじめシューズを慣らしていきやすく、ボックスの持ちの良さを活かしながら、シャンクもご自身の足に合わせてしっかり馴染ませていきやすい一足だと思います。本番までに状態を整えやすいという点でも、安心感につながりやすいモデルです。

ただし、最終的な消耗の進み方は 足の力・レッスン頻度・床の素材・個人のクセ によって変わりますので、あくまで個人差があることは前提にしていただければと思います。

プロダンサーはETUをどう使っていますか?

Noriyuki

Professional Pointe Shoe Fitter

Noriyuki

プロに限らず皆さん、舞台や演目によってポアントを使い分けることは珍しくありません。実際にお話ししたプロダンサーの方の中にも、足との一体感やしなやかな見え方を重視したい場面ではEuro Stretchを、安定感や支えの強さを優先したい場面ではETUを選ぶ、という使い分けをされている方がいました。

ETUは、BLOCHラインナップの中でもサポート力の高い一足です。静音性や衝撃吸収性に加え、広くフラットなプラットフォームによる安定感もあるため、軸の確かさや支えの強さが特に求められる場面で選ばれやすい印象があります。

一方で、Euro Stretchは足への追従性が高く、よりしなやかな足さばきや一体感を引き出しやすいモデルです。「万能の一足」を探すというより、役柄や踊りの要求に合わせて自身の魅力を引き出せる視点が、ETUを最大限に活かすコツかもしれません。

9. まとめ——細く見せたい気持ちと、安心して立ちたい気持ちの、ちょうど真ん中

最後に、ETUというトゥシューズを、ひとことでまとめるとしたら——

「見た目の美しさ」と
「立ったときの安心感」、
そのどちらも諦めたくない方へ向けた一足。

ETUは、けっして「万能なトゥシューズ」ではありません。世の中には、ほかにも素晴らしいモデルがたくさんあります。そして何より、ETUは「すべてのダンサーに合う一足」ではなく、「合う方には深く刺さる一足」です。

ただ、フィッターとして改めてお伝えしたいのは、ETUは、現在のBLOCHラインナップの中でも上位クラスのサポート力を持つポアントだということです。ダンサーの声をもとに開発されたトゥボックスは、高い安定感と耐久性を備えており、合う足には長く、確かな支えを与えてくれる一足です。

  • レッスン量が多く、先端が早くへたりやすい
  • すでに足の筋力が発達していて、もう少し頼れるシャンクがほしい
  • BLOCH Superlative、European Balance Strongなど、強めのシャンクに慣れている
  • ポアントで立つたびに、軸の不安を感じる
  • 足先の痛みや、床で滑る怖さを感じやすい
  • それでも、舞台ではすっきりと美しいラインを出したい
  • Gaynor Mindenの快適性に興味はあるけれど、自分の足で使う感覚も大切にしたい

こうした悩みや希望を持つバレエダンサーにとって、ETUは毎日のレッスンやリハーサルの安心感を高め、踊りの質を支えてくれる可能性を持った一足です。

一足一足、ダンサーの足に寄り添って

もしこの記事を読んで「私にも合うのかな」と気になった方は、ぜひ一度、実際に足を入れてみてください。足型は人それぞれ違いますし、シューズとの相性は、最終的には「履いてみて初めて分かる」もの。ETUは、従来のBLOCHモデルとはサイズ感が異なる場合があり、足の構造を理解したフィッティングが重要です。

そして、「自分はまだ初心者だから、ETUは難しいかもしれない」と感じた方も安心してください。ETU以外にも、今のあなたの足にぴったり合うモデルは、世界のブランドの中に存在します。グランパドドゥでは、BLOCHだけでなく、Grishko、Gaynor Minden、Gamba、Sylviaなど、幅広いブランドを取り扱っています。あなたのレベルと足の状態に合う一足を提案していますので、気軽にお声がけくださいね。

あなたのダンスライフが、
長く、少しでも軽やかになりますように。


AUTHOR

Noriyuki 岩内のりゆき プロフィール写真

この記事を書いた人

NORIYUKI

Professional Pointe Shoe Fitter

「足に自然になじむ一足」を大切に、ダンサーが自分らしく表現し、踊り続けられる選択に寄り添うプロフェッショナルポアントシューフィッター。海外老舗のBLOCH、Grishko、Capezioの各ブランドで専門的なフィッティング講習を修め、Sansha、Gaynor Minden、Gamba、Sylviaのトゥシューズにも精通する。

Youth Grand Prix Japan(YGP Japan)にGrishko代表ポアントシューフィッターとして参加。フィッター歴10年、予約制のフィッティングで2万人以上のバレエダンサーをサポートし、対応履歴は延べ5万件を優に超える。ひとりひとりの足の形、踊りのスタイル、これから描くダンサー人生に合わせ、最適な一足を提案している。

We fit for the love of dance.

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参考情報・出典

本記事はBLOCH公式情報、グランパドドゥでのフィッティング現場の所感をもとに構成しています。

最終確認日:2026年4月25日





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